「ザリガニの鳴くところ」の書評
「ザリガニの鳴くところ」は、賛否両論ありながらも、これまでに400万部売り上げています!書評家たちは、この作品は洗練を欠いており、ヤング・アダルト・ノベルのような読み物に過ぎないと酷評しました。
書き手側は、法廷劇とノース・カロライナの湿地帯での生活の美しい空気感の描写が読者の中で両立し得ないため良い評価を得られなかったのだと言います。比喩があまりにも見え透いており、象徴性の獲得に至っていないとの指摘もあります。私自身は、こうした欠点はまったく感じませんでした。むしろ、最初から最後まで素晴らしく読ませてくれる作品であるように感じました。
ザリガニはどこで鳴くのでしょうか?この作品は、6歳の時から家族が次々と去り社会的に孤立していたカイアの物語です。暴力をふるっていた父親が彼女の最後の家族でした。カイアは、狩りと料理を覚え、ほぼ独力で生活しています。通りすがりの人から稀に受ける親切と隣人の黒人のジュミニ夫婦のいつも変わらぬ友情だけが例外だったのです。
「ザリガニの鳴くところ」は極端な寂しさについての物語です。カイアは地域の人々のほぼすべてから蔑まれ、のけ者にされます。「沼の娘」と呼ばれるカイアは、隣人たちとは異なり、自然と強固な繋がりを持っているのです。酷い悲しみや絶望感に襲われた時には、カイアはカモメたちを頼ります。カイアは、このような悲惨な境遇でも、賢い子でした。彼女に読み書きを教えたテイトという地域の青年もやがて彼女の元を去ります。
カイアは、自然の摂理の理解を人間関係にあてはめ、すべての母親は戻って来るという間違えた考えを持つに至ります。また、地域の憧れの的であるチェーサーとの運命的なロマンスを自然の比喩で理解しようともします。
火の見やぐらの落とし戸から転落死したチェースの殺人容疑で起訴され有罪となったカイアは、どうなるのでしょうか。最終的には、安らぎを得られるでしょうか。素晴らしい殺人ミステリーにはいくつかひねりやどんでん返しがあるものです。「ザリガニの鳴くところ」も例外ではありません。
ディーリア・オーウェンズの「ザリガニの鳴くところ」は400万部を売り上げています。オーウェンズの作品はニューヨーク・タイムスのベストセラーリスト上位の常連です。オプラ・ウィンフリーの番組でも紹介され、リチャード・アンド・ジュディ・ブック・クラブのセレクションにも入っています。何はともあれ、現在のところは、既に400万人が読了した「ザリガニの鳴くところ」を是非お読みになってみてくださいね。
独特な作品ですが、ここ1、2年の間に「ザリガニの鳴くところ」がいくつもの受賞リストに載ったとしても違和感はありません。個人的には、この作品は、私が最近読んだタラ・ウエストオーバーの「エデュケーテッド」に非常に近いように感じました。もちろん「エデュケーテッド」は回想録、「ザリガニの鳴くところ」は物語ですので、二作品は根本的に違うものではあります。
それでは、今日はこの辺で失礼いたします。「ザリガニの鳴くところ」をお楽しみいただければ幸いです!
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最高の旅本
年末は「ベスト」を選出するのに最適な時期です。私は最高の旅の友となり得る本についていくつか記事を書いたことがあります。私は旅にまつわる文学について考えたり、議論したりすることが好きなのです。なぜかって?それは、旅をするのには良い本が不可欠だからです。
アルケミスト – 夢を旅した少年 / パウロ・コエーリョ著著
「アルケミスト」は、ここ数十年で最も広く読まれた小説かもしれません。自分の目標に向かって進むことについて書かれています。羊飼いの少年が自らの心に従い流れるようにスペインからエジプトに旅し、愛と生きる事の意味を学んでいきます。
この本には、奮起させてくれるような素晴らしい明言がぎっしりと詰まっています。「いつも今に集中することができれば、幸せな人間でいられる」というのが私のお気に入りの1つです。「今まさに生きているのだから、人生は貴方にとって祝いであり、壮麗な祭なのだ」という言葉もありました。この本には良い所が多すぎて、そのすべてを語り尽くすことは不可能です。
ラブ・ウィズ・ア・チャンス・オブ・ドロウニング / トーレ・デロッシュ著
この小説を書いたのは、旅行ブロガーのトーレ・デロッシュです。私はあまり「女子旅系ラブストーリー」の愛読者ではないのですが、この本は読み込んでしまいました。
恋人と太平洋を横断するために、主人公の女性が海への恐怖心を克服しようとする素晴らしい作品です。周囲の様子や人々の描写、そして、主人公の体験談がいきいきと描写されており、主人公の通った道筋を私自身で辿ってみたいと思わされました。
力強く、鮮やか、そして、心を打つ作品です。今年読んだ旅本の中で最高の1冊でした。
ザ・カリフズ・ハウス:ア・イヤー・イン・カサブランカ / タヒル・シャー著
著者のシャーは、幼少期の休日がきっかけとなって、カサブランカで居宅を購入しようとします。英国での都市生活の単調さから家族で逃れ、子供たちがのびやかな日々を送れるようにしようとするのです。私は書店で衝動的にこの本を買い、その後、一気に読んでしまいました。
この作品のあらゆる言葉、文に私は魅了されました。それほどシャーは素晴らしい書き手なのです。腐敗、地域のお役所仕事、窃盗犯、ギャング、混乱を巻き起こす精霊、そしてごく基本的な意思疎通にすら伴う困難さから、シャーは最高の物語を紡ぎ出しています。
私が今年読んだ中で最高の作品の1つでした。鮮やかに書かれ、最初から最後まで面白くてたまらない、そんな1冊です。
路上 / ジャック・ケルアック著
ビート・ジェネレーションの古典であるこの作品はジャック・ケルアックによって1957年に書かれました。時代を超えて読み継がれる旅の物語です。
主人公のサルはニューヨークを離れ西へと旅立ちます。鉄道に乗り、友人たちに会い、パーティで夜を過ごすのです。サルの焦燥感や世界を旅したいという気持ちには私たちの多くが共感できるでしょう。「路上」で私が最も素晴らしいと思ったのは、旅をすることによってサルが得た人間的成長でした。
ギャンブル関連書籍
ギャンブルで勝つためには読書は最重要です。マリア・コニコヴァやダニエル・ネグレアヌが読書家であることは良く知られています。精神を涵養するためだけに読書をするのではありません。読書によって、生還してホームベースをしっかり踏むことが可能になるのです。
ギャンブラーたちは遥か昔からインスピレーションや逸話、または幸運の徴を文学に求めてきましたが、そうしたこととは別の有用性が文学には有ります。以下に、素晴らしいストーリーというだけに留まらず、自身のゴールに到達するために必要な動機付けを促すような書籍リスト、決定版を作成しました。
このリスト内の書籍は、スポーツベッティングが運頼みの娯楽なのか、カジノがプレイヤーに打ち負かされ得るのか、カジノは最終的には必ず勝つのかといったことについて議論しています。
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ザ・コンプリート・ゲームスター
「ザ・コンプリート・ゲームスター」という書物が記された頃、ギャンブラーたちはランダムな事象の予測に数学が有用かもしれないと気付き始めたばかりでした。文献に重要な数学的理論が現れ始めるのはさらに数十年後のことです。
ギャンブルにおける理論は依然未発達で、競争力を持ったプレイヤーがプロとなり得るような道筋はありませんでした。実際、英国の詩人のチャールズ・コットンよるこのハンドブックでは、勝負は神意に左右されるものとされ、確率の理論に根差した方法論よりもイカサマに関する知識の方が幅を利かせていた時代のギャンブルの様子が描かれています。
コットンはギャンブルを擁護しつつも、特に「周囲から仲間が減って、疲労で自らの注意力も散漫になった時」には、不正なサイコロやイカサマ師に気をつけるようにといったプレイヤーたちへのアドバイスも怠っていません。19世紀の英国の小説によく登場するピケットやバセット、ハザードといったカードゲームについてもこの書籍から学ぶことが可能です。
インプリント・ソサエティによる1970年版の「ザ・コンプリート・ゲームスター」では、この書籍の元々の古風な綴りがそのまま使用されており、17世紀の英国の雰囲気が堪能できます。
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ジョン・スカーンのギャンブル完全ガイド
毎年出版されるギャンブル関連書籍の大半はいわゆる「ハウツー」本ですが、このジョン・スカーン(実際にはスカーニーと発音します)著の1冊にはかないません。1985年に亡くなったスカーンは、世界的なギャンブルの権威として、また、最高のカードマジシャンとして広く知られていました。
この完全ガイドでは、ギャンブルのほぼすべての要素について百科事典的に網羅し検証しています。歴史、ルール、勝つためのテクニック、さらにはギャンブルに関わる数学やイカサマの方法まで記されているほどです。
20世紀中盤のニューヨークで、マフィアのバグジー・シーゲルとウィリー・モレッティが2つある角砂糖のいずれにどのハエがとまるかに5,000米ドルを賭けたといった、思わず惹き込まれるような逸話も数多く語られています。
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ロール・ザ・ボーンズ
ネヴァダ大学のゲーム研究センター長のデイビッド・シュワルツによる「ロール・ザ・ボーンズ」は単なるギャンブル史以上の著作です。この書籍には、我々の祖先が洞窟からの外出によって得られるメリットと洞窟外の飢えた虎によって生じるリスクを推量して行動を決定していた先史時代以来、ギャンブルがどのように社会に影響を与えてきたのかが解説されています。
生存のためにリスクを取るのが必須だった時代が人類史の大部分を占めているのです。また、この書籍は、サイコロやトランプ、宝くじその他の種類のギャンブルの歴史を幅広く紹介した資料としても非常に高い価値があります。
18世紀に国営宝くじの裏をかいて900万仏フランを勝ち取ったヴォルテールや、バーデン=バーデンのカジノで文無しとなったドストエフスキーといった歴史的人物たちのギャンブルにまつわる生き生きとした逸話も満載されており、「ロール・ザ・ボーンズ」は読み物としても質の高い書籍です。